ビールの基礎知識
ビールとは?
ビールとは、一部に小麦麦芽を使用する特殊なものがあるものの、
基本的には大麦の麦芽、水、ホップを主原料に、スターチや米などを
副材料に加えて発酵させた醸造酒です。
ワインと並ぶ代表的な醸造酒であり、
日本人にも大変親しまれているアルコール飲料です。
ビールの原料は?
日本では、原料として麦芽、ホップ、水に加えて、副材料として
トウモロコシ、こうりゃん(モロコシ)、ばれいしょ(ジャガイモ)、
デンプン、糖類、苦味料、着色料の使用が酒税法によって認められています。
麦芽
ビールやウイスキーの原料として使用されている大麦を浸水、発酵させ
でんぷん質を糖化酵素のアミラーゼによって分解された状態のものをいいます。
ビールの色の違いは、この麦芽製造の乾燥度合いのよって違いを生む
麦芽の焦げ具合によるところが大きいです。
ホップ
アサ科のフルムス属に属する、雌雄異株のツル性の植物です。
未受精の雌花の株の中のルプリンという黄色い粉が、
ビールに独特の香りと爽やかな苦味を加えます。
さらに、泡立ちのよさや雑菌の繁殖を抑制する効果もあります。
世界的にホップの生産地は緯度で35〜55度の間に位置しており、
日本では東北地方など気候の冷涼なところで栽培されています。
水
醸造用水はビールの品質に大きな影響を与えるだけに、
敵質の水が得られることが工場の立地を決める際の
重要な条件となっています。
水質条件もきびしく、成分だけでなく無色、透明、無味、無臭で、
生物的に汚染されていないことも重要です。
一般的に淡色ビール(日本の普通のビールはこれに該当)には、
カルシウム、マグネシウムや炭酸塩の含有量の比較的少ない
軟水が適し、淡色ビールには香水がよいとされています
副材料
ビールの原料として副材料を使用することが認められており、
日本では主にでんぷん(コーンスターチ、米等)が使用されています。
これらは、ビールの味を調製しバランスのよいものにするのに役立ちます。
もちろん、麦芽100%のビールには、副材料は使用されていません。
ビールの製造工程
製麦
大麦を水に浸して発芽させ、麦芽に変える工程のことをいいます。
発芽した大麦を熱風で乾燥させます。
乾燥の強度の違いにより、香ばしい香りや麦わら色の色彩といった
個性が生まれていきます。
一般的に、低温で短時間乾燥させてから85°C前後で焦がすと淡色麦芽に、
高温で長時間かけて乾燥させて130〜150°Cぐらいで焦がすと濃色麦芽となります。
淡色麦芽は、淡黄色でピルスナー麦芽とも呼び、
濃色麦芽は褐色の麦芽で、強い焙煎香があり、主に濃色ビールに使用されます。
仕込み
粉砕した麦芽に副材料や水を加え、混ぜ、酵素の働きで
でんぷん質を甘い麦汁にしていく工程です。
その後、濾過をおこない、ホップを加えて煮沸します。
ホップを加えることで特有の香りと苦味がつき、
煮沸することによって糖化を止めて、麦汁を濃縮させて所定に濃度にします。
煮沸終了後に沈澱したホップ粕やオリを取り除きます。
発酵
冷却した麦汁に酵母を加えて発酵させる工程です。
約1時間前後で発酵は終了し、麦汁は約5%のアルコールを含んだ
「若ビール」となります。
この工程で使用する酵母には、複雑な風味のビールとなる上面発酵酵母と、
味の穏やかなすっきりとしたビールとなる下面発酵酵母の二つがあります。
貯酒
できあがったばかりの「若ビール」を貯蔵する工程です。
まだ香味等がとげとげしく、荒い状態である若ビールを、
貯酒タンクの中で約1ヶ月間貯蔵します。貯蔵温度は約0°Cです。
その結果、ビールは熟成度を増し、濁りもオリとなって沈澱し、
清澄化していきます。
濾過
貯酒の工程でたまった酵母粕などの有害物質を取り除きつつ、
旨み成分を通過させる工程です。
澄んだ色合いのビールに仕上げていきます。
以上の工程で、熱処理されていないビールが「生ビール」となります。
それに対して、熱処理したものは「加熱ビール」となります。
近年、フレッシュなビールが好まれるイメージであることから、
ビールの主流は「生ビール」へ移行しています。
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